まんさく園

Mansakuen

まんさく園

熊本県八代市の中心部に位置する多機能型指定障害福祉サービス事業所「まんさく園」就労移行支援、就労継続支援B型の2種類の事業が行れ、「個性を活かした自立を目指す」のスローガンのもと、障害者の労働の価値を高める事業を通して、厳しい状態あっても幸せに暮らせる地域をつくることを目的とされています。開所当初から取り組まれている利用者さんが織り上げる布。手織りの「さをり織」を協力して頂いて今回の製品は出来上がりました。その他にも園に併設しているギャラリー&カフェ「クミン」の運営をはじめ、ケーキやクッキーの製造・販売などの活動をされています。

約30年前、現施設長のお母様が初代園長としてこのまんさく園を設立。当時障害者施設は、住宅地などの人の生活の場からは離れた所に建てられることが多かったのですが、このまんさく園は地域の中で子どもたちを育てたいという思いから、元々公民館だった建物を利用して住宅地の中に設立されました。当初、障害者に対する世間の認識は今と比べ物にならないほど厳しいものでしたが、子を持つ親の気持ちの強さが次第に障害者に優しい地域へと進化していき、現在のまんさく園は親や兄弟など家族で子どもを育てるようなアットホームな施設として運営されています。

さをり織に取り組む利用者の皆さん
さをり織に取り組む利用者の皆さん
利用者の皆さん

初代園長は屋外でゴミを集めるなどきつい仕事が多かった障害者の仕事を変えたいと、室内で行える仕事として織物を取り入れました。その中でも「さをり織」は、比較的出来上がりが早く、達成感を得やすかったのでこの園での作業の中心となりました。色糸を織ることが多い「さをり織り」ですが、地元の畳業者さんのところで残り物として廃棄される畳表の綿糸との出会いがあって、このリサイクル糸を利用することを思いつきました。そのリサイクル糸を利用して編まれた布はいぐさ収穫量日本一の熊本県八代らしい、まんさく園らしい生成り色の「さをり織り」となりました。

まんさく園で仕事を持つことで社会参加し、人に喜ばれ、自分のやっていることに意味を見出した利用者。そしてその利用者一人一人の持ち味を大切にした織物は、人の平等な価値を伝える、まさに一点もの製品です。特に犬のぬいぐるみに使われている色糸の色の組み合わせは利用者さんの感性そのものです。

text 月花 kumamoto 熊本の器と暮らしの道具 田中比呂子

今までは廃棄されていた畳表の綿糸
今までは廃棄されていた畳表の綿糸

制作工程

※縦糸の準備はまんさく園の職員の方が行います

布の幅と長さに合わせ縦糸を整経
布の幅と長さに合わせ縦糸を整経
縦糸をおさに通す
縦糸をおさに通す
縦糸のヘルド通し
縦糸のヘルド通し
機織り
縦糸を機織りにセット
縦糸を機織りにセット
シャトルに横糸をセットし織り始め
シャトルに横糸をセットし織り始め
色糸の織は利用者それぞれのペース、デザインで
色糸の織は利用者それぞれのペース、デザインで
織りあがった布を機織から外す
織りあがった布を機織から外す
洗って乾燥させ完成
洗って乾燥させ完成