器峰窯

Kibougama(岡部俊郎・綾子)

岡部俊郎・綾子

日本で産出される陶石(磁器原料)の8割を占めると言われている天草陶石をご存知ですか。器峰窯では、この熊本の天草陶石を用いて、ご主人の岡部俊郎さんがろくろや石膏型で成形し、奥さんの綾子さんが絵付けを担当して、現代の生活環境に寄り添った、優しく使いやすい陶磁器を夫婦二人三脚で生み出しています。

俊郎さんは1765年に開窯した熊本の伝統工芸の窯元の一つである「水の平焼」で生まれ育ち、子どもの頃から粘土に触れ、先代の仕事を見て、やがて焼き物作りへと興味が育みました。佐賀県有田窯業学校を卒業後は長崎波佐見の伝習館での仕事を経て、地元天草へと戻り、親元の水の平焼で修行を重ねました。やがて自らの作品づくりへと発展して行くなか、地元天草で採れる天草陶石が地元窯元にて使用されることが少ないことに疑問を抱き、この天草陶石を使い作陶したいという強い思いから2013年に器峰窯として独立されたのです。

水の平焼

当初は白磁の器が中心でしたが、同じ有田窯業学校で学び、波佐見で修行し、両方の絵付けの特色を取得した妻綾子さんの絵付けが作品に加わることで器峰窯としてのスタイルが徐々に確立していきました。明治から昭和初期にかけて利用されていた石膏型をモチーフとしたり、当時描かれた図案を現代風にもアレンジもしました。さらに天草ならではの絵柄を取り入れるなど、伝統への敬意を表しながら、ご夫婦二人のコンビネーションやセンスが光る陶磁器の数々です。日々の生活に自然に馴染んで欲しい。使う人が楽しく豊かになって欲しい。という想いが詰まっています。

text 月花 kumamoto 熊本の器と暮らしの道具 田中比呂子

制作工程

天草陶石を原料とする
天草陶石を原料とする
轆轤成形
轆轤成形
成形用の石膏型
成形用の石膏型
成形用の石膏型
素焼きされた器
素焼きされた器
素焼きされた器
素焼き後、綾子さんの絵付
素焼き後、綾子さんの絵付
完成した器
完成した器
陶磁器