木部 大資(百花堂)

Kibe Daisuke

国指定の重要文化財のある八千代座などで知られる熊本県山鹿市。木部大資さんが活動する古民家ギャラリー百花堂は、八千代座近くの町並みにあります。もう少し説明すると山鹿市は山鹿温泉、千人灯籠踊りの山鹿灯籠祭りで有名なところでもあります。

竹工作家の木部大資さんはこの百花堂を工房とし、古民家の建材だった煤竹や山で採った青竹で、日常使いの道具から茶道具まで幅広く様々な作品を製作されています。

古民家ギャラリー百花堂は木部さんの祖父が畳屋を営んでいた江戸時代末期から百四十年以上なる長屋を改装し、地元のアーティストや個性的な作家さんの個展やグループ展が開催されているスペースが基本です。

その空間を抜け、さらに奥に入って行けば気温が数温下がったように冷んやりとそして優しい自然光、少々神秘的な木部さんの工房があります。そこでは煤竹で鳥籠作りなどしていた祖父の影響を受け10代後半から竹細工作りを始めた木部大資さんが音も立てないで作業されてます。

竹の性質を見極めながら、竹の状態や年代、どの部分を使うのか、どのくらいの材料が必要かなど製作に入るまでに相当な時間をかけています。また製作物に合わせて使う道具にもこだわっています。道具次第で仕上がり方も大きく異なるそうです。

時には製作物の最高な仕上がりをイメージして新しい道具作りから始めることもありますし、使い慣れた古い道具を修理しながらその道具でしか出来ない作業も行います。道具を触りその違いを知り切ることが作品作りに大きく影響しているようです。

直したり新たに作った道具
直したり新たに作った道具

繊維を断つように仕上げる箸の断面や、滑らかに仕上げられた作品の表面など、木部さんの作品には使いやすさだけでなく、作品の細部にまで美しさが宿っています。昔の物づくりや道具の使い方を参考に現代に繋げ、手で使うものだから、機械ではなく手で作ることがしっくりくるし馴染んでくるという想い、また手で作るものには文字や言葉で表せない魅力があることを完成した作品が語りかけてきます。

text 月花 kumamoto 熊本の器と暮らしの道具 田中比呂子

制作工程

手入れの行き届いた道具
工房にて 手入れの行き届いた道具
製作途中の作品
中庭脇のスペースには製作途中の作品も並べられている
集められた竹
集められた竹 古民家の解体で出る煤竹 山から切り出す青竹作品に使えるのは一部なのだそう
百花堂奥の工房で製作する木部さん
百花堂奥の工房で製作する木部さん
中庭