Nakagawa Jinenbo kiln(中川恭平)
1983 佐賀県東松浦郡玄海町生まれ
2009 父中川自然坊に師事
2012 中川自然坊窯を引き継ぎ作陶開始
唐津では分業制ではなく、作家が一貫して全ての工程を手掛けている窯元が多くあります。野山に分け入り探し出した原料で、自ら粘土や釉薬を作り、薪窯で焼く。そんな素材へのこだわりが、それぞれの窯元の個性になっています。
中川恭平さんは平成二十四年に父の遺した窯を受け継ぎました。同時に受け継いだ粘土と釉薬。それが器に多彩な発色をもたらしてくれています。
粗目で仕上がったものは釉薬の上からでも豪快な質感をみることが出来ます。その反面、成形・焼成時に不安定な所もありますが、かつての先人たちが風土や材料に合わせて、産地ごとのものづくりの特色を創ってきたように、父から受け継いだ粘土と釉薬の特徴を活かす姿勢に中川自然坊窯の個性が見えてきます。
とことんまで焼いた結果、炎による変化で同一種類でも発色や形状に違いが生じたり、荒土の性格を活かす故の不均一さも相まって、一点物でなくとも同じものは一つとしてみあたりません。
風合いを生かすため最低限の研磨で仕上げている都合上、やむおえず尖っている箇所もあります。また光沢のある釉薬は、細かな傷が付くことは避けられませんが、使い込んでいくうちに角が取れ、硬質な光沢感からマットで柔和な表情に変化した器もまた趣深く、下ろしたてとは違った面白さ、自然な存在感を感じられます。末永くご愛用いただき、そのような経年変化を愛着を持って楽しんでください。